遺言書作成は何から始める?自分で作る場合・公正証書・相談先を初心者向けに解説

「遺言書を作ったほうがいいのだろうか」と考え始めたものの、何から手をつければよいのか分からないままになっていませんか。自分で書いてもよいのか、公証役場に行くべきなのか、費用はいくらかかるのか。調べるほど情報が多く、かえって迷ってしまう方は少なくありません。

遺言書とは、財産を誰にどう残すかという意思を、亡くなった後に実行できる形で残す書類です。ノートや手紙に気持ちを書き残しても、法律で決められた形式を満たしていなければ、そのとおりに手続きを進めることはできません。

このページでは、遺言書作成で最初に決める3つのこと、自筆証書遺言と公正証書遺言の違い、実際にかかる費用、そして誰に相談すればよいのかを、法律の知識がなくても分かるように順を追って説明します。ご自分に合う方式の見当がついたら、それぞれの詳しいページへ進んでください。

遺言書を作ると、何が変わる?

遺言書を作ると、財産の分け方を相続人同士の話し合いに委ねず、自分で決めておくことができます。

「うちは財産が少ないから関係ない」と思われるかもしれませんが、手続きで苦労するかどうかは、財産の多さよりも相続人の人数や関係性で決まることのほうが多いのです。

遺言書がない場合との違い

遺言書がない場合、誰が何を受け継ぐのかは、相続人全員の話し合いで決めることになります。この話し合いを遺産分割協議といい、相続人が一人でも欠けていると成立しません(詳しくは遺産分割の進め方をご覧ください)。

仲が悪いわけではなくても、遠方に住んでいる、長年連絡を取っていない、判断能力に不安があるといった事情があるだけで、手続きが何か月も止まることがあります。相続人の中に認知症の方や行方の分からない方がいる場合は、家庭裁判所での手続きが必要になることもあります。

遺言書があれば、原則としてその内容にしたがって手続きを進められます。亡くなった方は、遺言で遺産の分割方法を定めることができるとされているためです民法第908条第1項

✏️遺言書がある場合・ない場合の違い

  遺言書がない場合 遺言書がある場合
分け方を決める人 相続人全員 本人(遺言者)
遺産分割協議 必要 原則として不要
相続人全員の合意 必要 原則として不要
連絡が取れない相続人がいるとき 家庭裁判所の手続きが必要になることがある 遺言の内容で進められる

たとえば、子どものいないご夫婦で夫が亡くなった場合、妻だけが相続人になるわけではありません。夫の父母などの直系尊属が存命であればその方が、直系尊属が全員すでに亡くなっていれば夫の兄弟姉妹(その兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥・姪)が、妻とともに相続人になります民法第889条・第890条。自宅を妻の名義に変えるだけでも、これらの方全員から署名と実印をもらわなければなりません。「妻にすべての財産を相続させる」という遺言書が1通あるだけで、この話し合い自体が不要になります。

遺言書は、財産をたくさん持っている人のための書類ではありません。残された家族が手続きで困らないようにするための書類だと考えると、自分に必要かどうかを判断しやすくなります。

⚠️

遺言書があっても、相続人全員が合意すれば、遺言と異なる分け方をすることは可能な場合があります。ただし、遺言執行者が指定されているときや、相続人以外に財産を渡す内容が含まれているときは、その方の同意も必要です。また、兄弟姉妹以外の相続人には遺留分という最低限の取り分が認められており、遺言の内容によっては金銭の請求を受けることがあります。遺留分を侵害する遺言が、それだけで無効になるわけではありません。

遺言書作成で最初に決める3つのこと

遺言書を作ると決めたら、細かい文面を考える前に、次の3つを大まかに決めておくと進めやすくなります。

  1. 何を、誰に残すか:自宅、預貯金、有価証券など、主な財産をどう分けたいかの方針を決めます。この段階で1円単位まで決める必要はありません。
  2. どの方式で作るか:自分で書く方式にするか、公証役場で作る方式にするかを選びます。
  3. 誰に相談するか:自分だけで進めるか、専門家に内容を確認してもらうかを決めます。

このうち最も迷いやすいのが、2つ目の方式選びです。次の章で2つの方式の違いを整理します。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

遺言書の方式は主に2つあり、費用をかけずに自分だけで作れるのが自筆証書遺言、費用はかかるものの形式の不備が起きにくいのが公正証書遺言です。

どちらの方式で作っても、遺言としての効力に優劣はありません。違いが出るのは、作るときの手間と費用、そして亡くなった後に確実に実行できるかという点です。

2つの方式の比較

自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自分で書き、押印して作る遺言書です民法第968条第1項。紙とペンと印鑑があれば作れますが、書き方が法律で決まっており、要件を欠くと効力が認められません。たとえば日付を「令和8年3月吉日」と書くと、日付が特定できないため認められません。

なお、財産の一覧を別紙にする場合、その財産目録はパソコンで作成したり、通帳のコピーや登記事項証明書を添付したりする方法でも構いません。ただし、目録の全ページに署名と押印が必要です民法第968条第2項

公正証書遺言は、遺言の内容を公証人に伝え、公証人が公正証書として作成する遺言書です民法第969条。作成には証人2人以上の立会いが必要で、原本は公証役場に保管されます。

✏️自筆証書遺言と公正証書遺言の比較

  自筆証書遺言 公正証書遺言
作り方 全文・日付・氏名を自分で書いて押印 内容を公証人に伝え、公証人が作成
作成の費用 紙とペンがあれば作成自体はかからない 財産の額に応じた公証人手数料
証人 不要 2人以上必要
保管 自宅など。法務局に預ける制度もある 原本を公証役場が保管
検認 必要(法務局に預けた場合は不要) 不要
形式不備のリスク 自分で確認するため残る 公証人が関与するため小さい
書き直し いつでも書き直せる 作り直すたびに手数料がかかる

手軽さでは自筆証書遺言、確実性では公正証書遺言に分があります。財産が自宅と預貯金だけで相続人の関係も単純であれば自筆証書遺言でも進めやすく、不動産が複数ある、相続人以外の方に財産を渡したい、後から争われそうだといった事情があれば、公正証書遺言を検討することになります。

⚠️

検認とは、遺言書の形状・日付・署名などを家庭裁判所で確認して記録し、その後の偽造や変造を防ぐための手続きです。遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。検認を受けたからといって内容が有効だと認められたわけではなく、反対に、検認を受けていないことだけを理由に無効になるわけでもありません。

それぞれの詳しい要件と手順は、次のページで説明しています。

秘密証書遺言という方式もある

遺言書には、自筆証書・公正証書のほかに秘密証書遺言という方式もあります民法第970条。遺言書に署名押印して封をし、公証人と証人2人以上の前にその封書を提出して、自分の遺言書であることを申し述べる方式です。

内容を誰にも知られないまま、遺言書が存在することだけを公証人に証明してもらえる点が特徴です。一方で、公証人は封をした中身を確認しないため、中身に形式の不備があれば効力が認められない可能性は、自筆証書遺言と同じように残ります。公証役場での手続きが必要なうえ、亡くなった後には家庭裁判所の検認も必要です。

手続きの負担は公正証書遺言に近い一方、形式不備のリスクは自筆証書遺言と同様に残るため、内容を秘密にしておきたい事情がどれだけ強いかで判断することになります。

自分で作った遺言書でも有効?

法律で決められた方式を満たしていれば、自分で書いた遺言書も公正証書遺言と同じ効力を持ちます。専門家に依頼しなければ無効になる、ということはありません。

ただし遺言書には、「形式が有効かどうか」とは別に、「書かれたとおりに手続きを進められるかどうか」という問題があります。方式は満たしているのに内容があいまいで、相続が始まってから使えない遺言書もあります。

たとえば「自宅は長男に」とだけ書かれている場合、建物と土地は特定できても、前面の私道の持分や、隣接する別の筆の土地まで含まれるのかを読み取れないことがあります。その部分だけ名義変更ができず、あらためて相続人全員で話し合うことになります。

財産の書き漏れも起こります。遺言書に書かれていない財産が後から見つかると、その財産については相続人全員で分け方を決めることになります。「その他一切の財産は○○に相続させる」という一文があるかどうかで、その後の手間が変わります。

自分で作る場合は、方式を守ることに加えて、財産と人を特定できる書き方にすること、そして財産に漏れがないようにすることが必要になります。

自分で作るという選択肢が取りやすいケース

次のような場合は、自筆証書遺言でも進めやすくなります。

  • 相続人が配偶者と子どもだけで、関係がこじれていない
  • 財産が自宅と預貯金程度で、内容をご自身で把握できている
  • 分け方が法定相続分から大きく離れていない
  • 相続人以外の方に財産を渡す予定がない

この場合でも、書き上げた後に第三者の目で方式と特定の仕方を確認しておくと、後で書き直す手間を避けられます。

専門家に相談したほうがよいケース

一方、次のような事情があるときは、作成する前に確認しておくほうが安全です。

  • 不動産がある:登記の記録どおりに特定して書く必要があります。共有持分や私道が漏れると、その部分だけ手続きを進められません。
  • 再婚していて、前の配偶者との間に子どもがいる:面識のない相続人同士で話し合うことになりやすく、遺言書があるかどうかで進み方が大きく変わります。
  • 相続人以外の方に財産を渡したい:内縁の配偶者、子の配偶者、お世話になった方、団体などに渡す場合は遺贈という形になり、書き方も手続きも変わります。
  • 特定の相続人の取り分を大きくしたい:遺留分を侵害すると、後から金銭の請求を受けることがあります。侵害しない範囲に収めるか、そのうえで理由を残しておくかの検討が必要です。
  • 相続人に判断能力の不安がある方や、行方の分からない方がいる:遺言書がないと家庭裁判所の手続きが必要になりやすく、用意しておく意味がとくに大きい場面です。
  • 事業をしている、自社株がある:株式が複数の相続人に分散すると、その後の事業の意思決定に影響します。
  • 外国籍の方、海外に財産がある方:どの国の法律が適用されるかを含めた確認が必要です。

また、ご本人の判断能力に不安が出てきている場合は、早めに動くことが大切です。遺言をするには一定の判断能力が必要で、成年被後見人が遺言をするには、判断能力を一時回復したときに医師2人以上の立会いが必要とされています民法第973条

遺言書作成にかかる費用

遺言書の費用は、「どの方式で作るか」と「専門家に依頼するか」の2つでほぼ決まります。自分で書いて自宅に置いておくだけなら、費用はかかりません。

公的な制度を使う場合の手数料は法令で決まっており、事務所や地域によって変わるものではありません。ここでは実際にかかる金額を、方式ごとに分けて整理します(金額は2026年8月現在のものです)。

自分で作る場合の費用

自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があれば作成できるため、書くこと自体に費用はかかりません。費用が発生するのは、書いた遺言書を法務局に預ける自筆証書遺言書保管制度を利用する場合です。

✏️法務局に預ける場合の手数料

手続き 手数料 手続きをする人
遺言書の保管の申請 1件(遺言書1通)3,900円 遺言者本人
保管の申請の撤回・住所等の変更の届出 不要 遺言者本人
遺言書の閲覧(モニター) 1回1,400円 本人/相続人等
遺言書の閲覧(原本) 1回1,700円 本人/相続人等
遺言書情報証明書の交付 1通1,400円 相続人等
遺言書保管事実証明書の交付 1通800円 相続人等

納めるのは収入印紙です。保管の申請にかかる3,900円は最初の1回だけで、その後の保管に年間の費用はかかりません。書いた内容を撤回したいときや、引っ越して住所が変わったときの届出にも手数料はかかりません。

表の下の4つは、亡くなった後にご家族が使う手続きの手数料です。作成時にご本人が負担するものではありません。

一方、法務局に預けず自宅などで保管した場合は、亡くなった後に家庭裁判所の検認が必要になり、そのときに費用が生じます。申立てには遺言書1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手が必要で、手続き後に受け取る検認済証明書には遺言書1通につき150円かかります。

公正証書遺言の場合の費用

公正証書遺言の手数料は、公証人手数料令という政令で決まっています。財産の総額に対して1つの金額が決まるのではなく、財産を受け取る人ごとに計算して合算する点が、誤解されやすいところです。

✏️公証人手数料の基準(目的の価額別)

目的の価額 手数料
50万円以下 3,000円
50万円超100万円以下 5,000円
100万円超200万円以下 7,000円
200万円超500万円以下 13,000円
500万円超1,000万円以下 20,000円
1,000万円超3,000万円以下 26,000円
3,000万円超5,000万円以下 33,000円
5,000万円超1億円以下 49,000円

これに加えて、財産の総額が1億円以下の場合は遺言加算として13,000円が加算されます。1億円を超える場合の基準は別に定められています。

✏️計算例:4,000万円の財産を妻と長男に分ける場合

自宅2,500万円を妻に、預貯金1,500万円を長男に相続させる内容とします。

  • 妻が受け取る2,500万円分 … 26,000円
  • 長男が受け取る1,500万円分 … 26,000円
  • 合計 52,000円
  • 遺言加算(総額1億円以下のため) … 13,000円

合わせて65,000円が公証人手数料の目安になります。このほか、公正証書の正本・謄本の交付にかかる手数料(書面の場合は1枚300円、電子データの場合は各1通2,500円)が別に必要です。

原本が3枚を超える場合は、超える1枚につき300円が加算されます。また、体力面などの事情で公証役場に行けず、公証人にご自宅や病院、施設まで来てもらう場合は、手数料が50%加算されるほか、日当(1日2万円、4時間以内は1万円)と交通費が必要です。

なお、公証役場での事前の相談自体に手数料はかかりません。作成する内容が固まっていない段階でも、費用の見当をつけるために問い合わせることができます。

専門家に依頼する場合の費用

専門家に依頼する場合の費用は、ここまでの実費とは別に発生します。依頼する内容は、遺言書の原案の作成、戸籍や登記事項証明書などの必要書類の取り寄せ、公証人との事前の打ち合わせ、公正証書遺言の証人、亡くなった後の遺言の執行などに分かれます。

費用は事務所によって異なり、どこまでを依頼するかによっても変わります。見積もりを取るときは、金額だけでなく「どの作業までが含まれているか」を一緒に確認してください。とくに、亡くなった後に遺言の内容を実行する遺言執行を誰が担うかは、後の負担に関わるため、作成の段階で決めておくことをおすすめします。

遺言書作成は誰に頼めばよい?

相談先は、財産に不動産があるか、相続人の間でもめそうか、相続税がかかりそうかの3点でおおよそ絞れます。

遺言書の作成に関わる専門家は、それぞれ扱える範囲と得意な場面が違います。名前だけで選ばず、自分の事情に合うのはどこかで選んでください。

相談先ごとの役割の違い

✏️遺言書作成の相談先と役割

相談先 主に頼れること 向いている場面
公証役場(公証人) 公正証書遺言の作成 方式の面で確実な遺言書にしたい
司法書士 原案の作成、必要書類の取り寄せ、公証人との打ち合わせ、証人、遺言の執行、不動産の名義変更 不動産がある。相続が始まった後の名義変更まで見据えたい
行政書士 原案の作成、必要書類の取り寄せ、遺言の執行 不動産や裁判所の手続きが関わらない
弁護士 原案の作成に加え、相続人の間で対立が生じたときの交渉・調停・訴訟の代理 すでにもめている。もめることが見込まれる
税理士 相続税の試算、遺言の内容が税額に与える影響の確認 相続税がかかりそう
信託銀行など 遺言書の作成のサポートから保管・執行までをまとめて依頼 手続き全体を一つの窓口に任せたい(費用が他の相談先より高くなる場合がある)

公証人は、公正証書遺言を作る専門家です。遺言の内容に関する有効性の確認や助言は行いますが、個別の相続関係・税務・不動産登記まで含めた検討や、戸籍・登記事項証明書の収集を代わりに行う役割ではありません。そこまで任せたい場合は、公証役場と並行して専門家に相談することになります。

相続財産に不動産が含まれる場合は、遺言書の書き方が、そのまま名義変更のしやすさに影響します。登記の記録どおりに特定して書けているか、私道の持分が漏れていないかといった点は、作成の段階で確認しておくほうが確実です。当事務所でも、遺言書の原案づくりから相続開始後の名義変更まで、続けてお手伝いしています。

すでに相続人の間で言い分が食い違っている場合や、遺留分をめぐって争いになりそうな場合は、交渉や裁判所の手続きの代理ができる弁護士に相談してください。相続税がかかりそうな規模であれば、分け方によって税額が変わるため、税理士に試算してもらったうえで内容を決めると無駄がありません。

信託銀行などが扱う遺言信託は、遺言書の作成から保管、亡くなった後の執行までを一つの窓口にまとめられる点が特徴です。大手信託銀行2社の公表料金(2026年8月時点で確認)を見ると、申込時の手数料が33万円から110万円程度、保管料が年間数千円、これとは別に遺言の執行報酬が遺産総額に料率を掛けた額でかかり、その最低報酬額が33万円から165万円程度に設定されています。他の相談先と比べて費用が高くなる場合があるため、申し込む前に料金表で確認してください。

申込時の手数料と執行報酬は別に発生するため、合計すると100万円を超えることがあります。とくに最低報酬額が定められているため、財産の規模が大きくないほど負担は相対的に重くなります。申し込む前に、料金表で「申込時にいくらかかるか」「執行時にいくらかかるか」の両方を必ず確認してください。

遺言執行者を誰にするか

遺言執行者とは、亡くなった後に遺言の内容を実際に実行する人のことです。遺言書の中で指定しておくことができます民法第1006条第1項

遺言執行者になれないのは未成年者と破産者だけで民法第1009条、それ以外であれば、財産を受け取る相続人本人を指定することもできます。ご家族を指定すれば費用はかかりませんが、金融機関や法務局とのやりとりをご自身で進めることになります。手続きの負担を減らしたい場合や、相続人同士の関係に不安がある場合は、専門家を指定しておく方法もあります。

指定がなくても遺言の内容を実行できる場合はありますが、指定しておくと、亡くなった後に誰が動くのかで迷わずに済みます。

作成した後の保管と、亡くなった後の手続き

遺言書は、亡くなった後にご家族に見つけてもらえて、はじめて意味を持ちます。どこに保管するかは、書き始める前の段階から考えておいてください。

遺言書の3つの保管方法

✏️保管方法の違い

保管方法 対象 特徴
自宅などで自分で保管 自筆証書遺言 費用はかからないが、見つけてもらえない・紛失するおそれがある
法務局に預ける 自筆証書遺言 3,900円。原本は法務局が保管。検認は不要。通知の仕組みがある
公証役場が保管 公正証書遺言 原本は公証役場が保管。正本・謄本は本人が手元に保管する。検認は不要

自宅で保管する場合にいちばん心配なのは、そもそも見つけてもらえないことです。仏壇や金庫にしまったまま気づかれず、遺産分割協議が終わってから出てくることもあります。信頼できるご家族には、遺言書があることと保管場所を伝えておいてください。

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封印された遺言書を見つけても、その場で開けないでください。封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのもとで開封することになっています民法第1004条第3項

法務局に預けた場合は、亡くなった後に通知が届く仕組みが用意されています。ひとつは、相続人のどなたかが遺言書の閲覧や証明書の取得をしたときに、ほかの関係者全員へ「遺言書が保管されている」と知らせるものです。もうひとつは、あらかじめ指定しておいた方(3名まで)へ、戸籍の情報から死亡が確認された段階で知らせるものです。

ただし後者は、保管を申請するときに希望した場合に限って実施されます。預けたことを誰にも伝えないでおく予定であれば、申請の際に通知を受け取る方を指定しておいてください。

⚠️

保管制度を利用すると、原本は法務局に保管され、自宅に原本は残りません。反対に、自宅で遺言書が見つかっただけでは、その方が保管制度を利用していたかどうかは分かりません。利用の有無は、遺言書保管事実証明書を取得して確かめます。

亡くなった後にご家族がすること

遺言書の種類によって、最初にすることが変わります。

  • 自宅などで自筆の遺言書が見つかった:家庭裁判所に提出して検認を受けます民法第1004条第1項
  • 法務局に預けられていた:遺言書情報証明書の交付を受けます。検認は不要です。
  • 公正証書遺言がある:作成時に交付された正本または謄本を、そのまま手続きに使えます。検認は不要です民法第1004条第2項。手元に見当たらない場合は、公証役場で謄本の交付を受けられます。

内容が確認できたら、不動産の名義変更や預貯金の解約といった手続きに進みます。遺言書があっても、書かれていない財産が残っている場合は、その部分について相続人全員で分け方を決めることになります。

目的別に詳しく読む

ここまでで方式や相談先の見当がついたら、次は目的に合ったページへ進んでください。

よくある質問

自分で書いた遺言書でも有効ですか?
民法で決められた方式を満たしていれば有効です。全文・日付・氏名を自分で書き、押印することが必要で、日付は「令和8年3月吉日」のように特定できない書き方では認められません。ただし、形式が有効であることと、書かれたとおりに名義変更などの手続きを進められることは別の問題です。財産と受け取る人が、後から誰が読んでも1つに特定できる書き方になっているかを確認してください。
遺言書をパソコンで作ることはできますか?
本文はパソコンで作成できません。全文を自分の手で書く必要があります。ただし、財産の一覧を別紙にする場合、その財産目録はパソコンで作成したり、通帳のコピーや登記事項証明書を添付したりする方法でも構いません。この場合は、目録の全ページに署名と押印が必要です。なお、公正証書遺言は公証人が作成するため、自分で手書きする必要はありません。
認知症と診断されていても遺言書を作れますか?
診断を受けているという理由だけで、直ちに作れなくなるわけではありません。遺言をするには、その内容を理解して判断できる能力が必要とされています。判断能力が失われた状態にあるとして成年後見が開始している方の場合は、判断能力を一時回復したときに医師2人以上の立会いがあれば遺言をすることができます。ただし、後から遺言の有効性を争われることがあるため、判断能力に不安が出てきている場合は早めに準備を進めてください。
遺言書を作った後に、書いた財産を売却できますか?
売却できます。遺言書を作っても、その財産を自由に使えなくなるわけではありません。遺言の内容と抵触する売却などをした場合、その抵触する部分については、遺言を撤回したものとみなされます。ただし、売却した財産について書いた部分が効力を失うため、残りの財産の分け方が当初の意図とずれることがあります。大きな財産を処分したときは、遺言書を作り直すかどうかを検討してください。
一度作った遺言書の内容を後から変更できますか?
いつでも撤回・変更できます。ただし、撤回や変更も遺言の方式に従って行う必要があり、書き足したり線を引いたりするだけでは足りません。前に作った遺言と後に作った遺言の内容が食い違う場合、食い違う部分については後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。公正証書遺言を自筆証書遺言で変更・撤回することもできます。

⚠️2026年に成立した遺言制度の改正について

2026年6月17日に「民法等の一部を改正する法律」が成立し、同月24日に公布されました。遺言制度については、押印を必ずしも求めない扱いへの見直しと、電子データなどで作成して法務局が保管する保管証書遺言の創設が盛り込まれています。

ただし施行日はいずれもまだ決まっておらず、政令で定められることになっています。押印の見直しは公布から1年を超えない範囲内、保管証書遺言の創設はシステムの改修が必要なため公布から3年を超えない範囲内とされています。

このページで説明している内容は、2026年8月現在の制度によるものです。実際の取扱いが変わるのは施行された後になります。

まとめ|迷ったら「誰に何を残したいか」から

相続人が2人以上いれば、財産が自宅と預貯金だけでも、遺言書があるかどうかで手続きの進み方が大きく変わります。財産の多さではなく、相続人の人数や関係が、遺言書の要不要を左右します。

方式は主に自筆証書遺言と公正証書遺言の2つで、どちらで作っても効力に優劣はありません。手軽さを取るか、形式面の確実さを取るかの選択になります。公的な手数料は法令で決まっているため、法務局に預ける場合は3,900円、公正証書遺言は財産の分け方に応じた公証人手数料という形で、あらかじめ見当をつけられます。

順番としては、細かい文面を考える前に「誰に何を残したいか」を決めてください。それが決まれば、方式も相談先も自然に絞り込めます。

一方で、不動産がある場合、再婚して前の配偶者との間にお子さんがいる場合、相続人以外の方に財産を渡したい場合は、書き方によって手続きが進まなくなることがあります。こうした事情に心当たりがあれば、書き始める前に一度確認しておくと、後で書き直す手間を避けられます。

遺言書の内容で迷ったときは

「この書き方で不動産の名義変更ができるか」「相続人以外の方に残したいが、どう書けばよいか」など、作成する前に確認しておきたい点があれば、司法書士事務所神戸リーガルパートナーズにご相談ください。ご家族の関係や不動産がからむ場合は、書き始める前に整理しておくと安心です。お電話・メール・LINEからお問い合わせいただけます。

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相続のお問い合わせは司法書士事務所神戸リーガルパートナーズまで TEL: 078-262-1691
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