生命保険の受取人は誰?相続時の死亡保険金の受け取り方を解説

「生命保険があるらしいが、誰が受け取れるのか分からない」「相続財産としてほかの相続人と分けなければいけないのだろうか」——保険証券や保険会社からの通知を見つけて、そう戸惑う方が毎年何人も相談に来られます。

結論からお伝えすると、死亡保険金は誰が受け取るかが契約内容によって決まり、多くの場合は指定された受取人が保険会社へ直接請求します。また、遺産分割の対象になるかどうか相続税の対象になるかどうかは別の話であり、この2つを分けて理解することが大切です。この記事では、受取人の確認方法から請求の流れ、相続放棄・相続税との関係まで、初めて手続きに向き合う方にもわかりやすく解説します。

まず確認したい|死亡保険金の受取人は誰か

死亡保険金を誰が受け取れるかは、保険証券や契約内容に記載されている受取人の指定によって決まります。まずは保険証券や保険会社からの通知を確認し、受取人欄に誰の名前が書かれているかを見てみましょう。受取人の指定のしかたによって、その後の対応が変わります。

受取人が個人名で指定されている場合

「配偶者〇〇」「長男〇〇」のように、特定の個人が受取人として指定されている場合は、原則としてその方が保険会社へ直接請求します。死亡保険金は、契約に基づいて受取人が保険会社に対して持つ固有の権利であり、他の相続人の同意や遺産分割協議を経なくても請求できるのが一般的です。

受取人が「相続人」とだけ指定されている場合

受取人欄に「相続人」とだけ記載されている契約もあります。この場合、誰がどの割合で受け取るかは保険会社の約款や契約内容によって扱いが分かれるため、この記事だけで一律の結論を出すことはできません。保険会社に確認し、必要な書類や請求方法を案内してもらってください。

指定受取人が先に亡くなっている・受取人指定がない場合

指定されていた受取人がすでに亡くなっている場合や、そもそも受取人の指定がない場合、被相続人自身が受取人になっている場合も、扱いが契約・約款によって異なります。これらのケースも保険会社への確認が最初の一歩になります。契約内容を確認しないまま「きっとこうだろう」と進めてしまうと、後で手続きをやり直すことにもなりかねません。

受取人の指定内容は、保険証券のほか、保険会社のマイページや契約内容のお知らせでも確認できることがあります。証券が見当たらない場合の対処法は、後述の「保険証券が見つからない・保険会社が分からない場合」で解説します。

死亡保険金は遺産分割の対象?相続財産との関係

死亡保険金が「相続財産に含まれるかどうか」を考えるときは、民法上の扱い税法上の扱いを分けて理解する必要があります。同じ「相続財産」という言葉でも、意味するものが違うためです。

民法上の扱い|受取人固有の財産

受取人が個人名で指定されている死亡保険金は、民法上は受取人の固有財産として扱われるのが一般的です。つまり、亡くなった方の遺産そのものではなく、契約に基づいて受取人が保険会社に対して直接持つ権利という位置づけになります。そのため、通常は遺産分割協議の対象に含めず、他の相続人と分け合う必要もありません。

ただし、受取金額が遺産全体に比べて極端に大きいなど、相続人間の公平を著しく欠くと判断される特別な事情がある場合は、例外的に扱いが問題となることがあります。個別の事情がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

税法上の扱い|みなし相続財産

一方、税法上は話が変わります。被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、相続税の計算上は「みなし相続財産」として扱われ、相続税の課税対象になる場合があります。民法上は遺産分割の対象にならなくても、税務上は相続税の計算に含める必要がある、この2つは別のルールで動いています。相続税の詳しい取り扱いは、後述の「死亡保険金と相続税|計算前に知っておくこと」で解説します。

死亡保険金を受け取るまでの流れ

死亡保険金の請求は、契約している保険会社ごとに窓口・書式が異なりますが、大まかな流れは共通しています。

死亡保険金を受け取るまでの流れ
1

保険証券・通知・口座引落しを確認する
保険証券や保険会社からの通知、預金口座からの保険料引落し履歴などから、契約内容と受取人を確認します。

2

受取人が保険会社へ死亡を連絡する
受取人本人が保険会社(コールセンターや担当窓口)へ連絡し、被保険者が亡くなったことを伝えます。

3

請求書と必要書類を確認する
保険会社から請求書類一式が送られてくるので、内容を確認し、必要な添付書類をそろえます。

4

書類を提出する
記入した請求書と添付書類を保険会社へ提出します。

保険会社の確認後、指定口座で受け取る
保険会社側で内容を確認したのち、受取人が指定した口座に死亡保険金が振り込まれます。

振込までの期間は、保険会社や案件の内容、書類の提出状況によって異なります。目安の日数を保険会社の担当窓口で確認しておくと安心です。

死亡保険金の請求で一般に確認される書類

死亡保険金の請求では、一般的に次のような書類が求められます。保険会社や契約内容、死亡の原因によって必要な書類は異なるため、ここでは一般的な例として紹介します。実際に必要な書類は、保険会社から届く案内が最も確実です。

  • 保険金請求書(保険会社所定の様式)
  • 保険証券
  • 被保険者の死亡が確認できる書類(死亡診断書の写しなど)
  • 被保険者の死亡の記載がある戸籍(または住民票除票など)
  • 受取人の本人確認書類
  • 受取人の印鑑証明書
  • 振込先口座の情報
受取人が「相続人」となっている場合など、契約内容によっては相続人全員の戸籍や実印が必要になることもあります。保険会社の案内に従って準備を進めてください。

保険証券が見つからない・保険会社が分からない場合

「生命保険に入っていたはずだが、証券が見当たらない」「どこの保険会社と契約していたか分からない」というケースも少なくありません。まずは、次のようなものがないか家の中を確認してみましょう。

  • 保険証券そのもの
  • 保険会社からの契約内容のお知らせ・年次のご案内
  • 預金通帳の保険料引落し履歴
  • 年末調整・確定申告資料に添付されていた保険料控除証明書
  • 保険会社からのメール(メールアドレスが分かる場合)
故人のスマートフォンやパソコンのログイン情報を推測して契約者専用サイトに入る、といった方法はおすすめできません。契約の有無を確認する方法は、次に紹介する制度を利用してください。

生命保険契約照会制度で契約の有無を調べる

家の中を探しても保険契約の手がかりが見つからない場合、生命保険契約照会制度を利用すると、亡くなった方が契約者または被保険者になっている生命保険契約の有無を確認できます。

この制度は、生命保険協会が運営する仕組みで、死亡または認知判断能力が低下した場合に、協会に加盟している生命保険会社(会員会社)を対象に、契約の有無をまとめて照会できるものです。

生命保険契約照会制度の概要(2026年7月現在)
項目 内容
照会できること 会員生命保険会社における対象契約の有無
対象となる場合 死亡時、または認知判断能力の低下時
平時利用の利用料 照会対象者1名につき、WEB申請6,000円・書面申請7,000円
対象契約 照会受付日時点で有効に継続している個人保険契約など(死亡による照会では、死亡日まで最低3年間さかのぼった範囲が対象)
死亡による照会では死亡日から最低3年間さかのぼった範囲の契約が対象ですが、それより前に支払済・解約済・失効済となった契約など、対象にならない契約もあります。また、この制度は契約の有無を確認する仕組みであり、保険金の請求を代行するものではありません。契約が判明した後は、各保険会社の窓口へ連絡し、契約内容の確認・請求手続きを進める必要があります。

利用料や対象範囲は変更されることがあるため、申し込み前に生命保険協会の公式ページで最新の情報を確認してください。

相続放棄をしても死亡保険金は受け取れる?

相続放棄を考えている方の中には、「死亡保険金を受け取ると相続放棄ができなくなるのでは」と不安に思う方もいます。結論として、受取人が個人として指定されている死亡保険金は、相続放棄をしても受け取れる場合があります。

これは、前述のとおり死亡保険金が民法上は受取人固有の財産として扱われ、相続財産そのものとは区別されるためです。ただし、受取人が「相続人」と指定されている場合や、契約内容によっては扱いが異なることもあります。相続放棄をするかどうかを判断する前に、保険契約の内容と相続財産全体を確認してください

相続放棄には、原則として相続を知ってから3か月以内という期限があります。判断に迷う場合は、期限が来る前に早めに相談してください。

死亡保険金と相続税|計算前に知っておくこと

民法上は遺産分割の対象にならない死亡保険金でも、相続税の計算上は課税対象になる場合があります。被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、税法上「みなし相続財産」として扱われます。

相続人が受取人になっている場合は、次の非課税限度額が設けられています(国税庁の公表資料に基づく、2026年7月現在の取り扱いです)。

相続人が受け取る死亡保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」に相当する部分は、相続税の非課税枠として扱われます。

ただし、相続放棄をした方や、相続人以外の方が受取人になっている場合は、この非課税枠の対象になりません。なお、非課税限度額を計算する際の「法定相続人の数」は、相続放棄がなかったものとして数えます。実際に申告が必要かどうか、非課税枠の計算方法、他の相続財産と合わせた相続税額の試算は、税理士による個別確認が必要です。このページでは制度の概要のみを紹介し、具体的な税額計算は行いません。

保険だけで終わらせず、相続手続きを整理する

生命保険の請求手続きが一段落しても、相続手続き全体が終わったわけではありません。銀行口座の解約、不動産の名義変更、株式・有価証券の名義変更、戸籍の収集など、並行して進めるべき手続きが他にもあります。

「保険は片づいたが、次に何をすればいいか分からない」という段階でも、まずは相続財産全体を洗い出すところから始めると、手続きの全体像が見えてきます。複数の窓口をまとめて進めたい場合は、遺産整理業務として一括でご相談いただくことも可能です。

よくある質問

生命保険の受取人は相続人でないといけませんか?
相続人でなくても受取人に指定できますが、完全に自由に指定できるわけではありません。保険会社の引受基準により、配偶者や一定の親等内の血族など、被保険者と一定の関係にある人に限られるのが一般的です。詳しい範囲は保険会社によって異なるため、契約時の案内や約款で確認してください。
死亡保険金は相続財産に含まれますか?
受取人が個人として指定されている場合、民法上は受取人固有の財産として扱われ、通常は遺産分割の対象になりません。ただし、相続税の計算では「みなし相続財産」として課税対象になる場合があります。民法上の扱いと税法上の扱いは別に考える必要があります。
死亡保険金は遺産分割協議で分ける必要がありますか?
受取人が個人として指定されている場合は、原則として遺産分割協議を経ずに受取人が直接請求できます。受取人が「相続人」と指定されている場合など、契約内容によって扱いが異なることがあるため、保険会社に確認してください。
受取人が亡くなっている場合はどうすればよいですか?
指定されていた受取人がすでに亡くなっている場合、扱いは契約内容によって異なります。保険会社に連絡し、案内に従って手続きを進めてください。
保険証券が見つからない場合、どこに相談すればよいですか?
まずは通帳の保険料引落し履歴や保険会社からの通知などを確認してください。それでも分からない場合は、生命保険協会の生命保険契約照会制度を利用すると、契約の有無を確認できます。
相続放棄を考えていても、保険金の請求はできますか?
受取人が個人として指定されている死亡保険金は、相続放棄をしても受け取れる場合があります。ただし、契約内容によって扱いが異なることがあるため、相続放棄を判断する前に契約内容と相続財産全体を確認しておくことをおすすめします。
死亡保険金に相続税はかかりますか?
被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、相続税の計算上「みなし相続財産」として課税対象になる場合があります。相続人が受取人の場合は「500万円×法定相続人の数」の非課税枠がありますが、具体的な申告要否や税額は税理士に確認してください。

まとめ|受取人の確認と、民法・税法の違いを押さえる

死亡保険金の受け取りで押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • 受取人は契約内容で確認する。個人指定なら、原則としてその方が直接請求できる
  • 民法上は受取人固有の財産、税法上はみなし相続財産と、扱いが分かれる
  • 保険証券が見つからない場合は、生命保険契約照会制度で契約の有無を確認できる
  • 相続放棄をしても保険金を受け取れる場合があるが、契約内容の確認が先決
  • 相続税の非課税枠はあるが、申告要否・税額は税理士に確認する

保険金の請求だけで終わらせず、銀行口座や不動産など他の相続手続きも含めて整理したい場合は、お気軽にご相談ください。

生命保険の受取りや相続手続き全体でお困りではありませんか?

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