遺産分割とは?進め方・4つの分け方・協議が必要な場合を解説

親族が亡くなり、「遺産分割」という言葉を初めて目にして戸惑っていませんか。何をどの順番で決めればよいのか、兄弟姉妹にどう切り出せばよいのか、迷う方は少なくありません。

遺産分割とは、亡くなった方が残した財産について、誰が何を受け継ぐのかを相続人全員で決める手続きです。財産を実際に動かすのはその後で、順番を間違えるとやり直しになることもあります。

このページでは、遺産分割が必要になる場面、遺産を分ける4つの方法、進め方の5つの手順を、法律の知識がなくても分かるように順を追って説明します。相続人に未成年者や認知症の方がいる場合、話し合いがまとまらない場合にどう進むのかも確認できます。

なお、内容をよく確かめないまま書類に署名・押印すると、後から取り消すのは簡単ではありません。急かされていると感じたら、いったん手を止めて確認してください。

遺産分割とは|まず遺言書と相続人を確認する

遺産分割とは、亡くなった方(被相続人)が残した財産について、誰が何をどれだけ受け継ぐのかを相続人全員で決めることをいいます。話し合いで決める場合、その話し合いを遺産分割協議と呼びます。

相続が始まると、財産は自動的に誰か1人のものになるわけではありません。相続人が2人以上いる場合、財産はいったん相続人全員の共有になります民法第898条。共有のままでも法定相続分どおりに登記することはできますが、それでは誰か1人の名義にまとめることも、特定の相続人が預金を受け取ることもできません。そこで、共有の状態を解いて「この不動産は長男が、この預金は次女が」と決めていく作業が遺産分割です。

遺産分割は、財産を動かす前に誰が何を受け継ぐかを確定させる手続きです。ここが決まらないうちは、特定の相続人の名義に変える手続きへ進めません。

遺産分割が必要になるのはどんなとき?

相続人が2人以上いて、遺言書がない場合、または遺言書はあっても分け方が決まっていない財産が残っている場合に必要になります。

逆に、次のような場合は遺産分割協議をしないこともあります。

  • 相続人が1人だけの場合(分ける相手がいないため)
  • 遺言書ですべての財産の受け継ぎ方が決まっている場合
  • 相続人全員が相続放棄をして、相続人がいなくなった場合

それ以外は、財産が預貯金だけであっても、誰がいくら受け継ぐかを相続人全員で決める必要があります。その合意を遺産分割協議書という書面にするかどうかは、提出先によって扱いが異なります。共同相続人は、いつでも協議で遺産の全部または一部を分割できるとされています民法第907条第1項

遺言書があれば遺産分割協議は不要?

有効な遺言書ですべての財産の分け方が決まっていれば、原則として遺産分割協議は不要です。被相続人は遺言で遺産の分割方法を定めることができ民法第908条第1項、その内容が優先されます。

ただし、遺言書があっても次の場合は確認や話し合いが必要になります。

  • 遺言書に書かれていない財産が見つかった場合:その財産については、あらためて相続人全員で分け方を決めます。
  • 遺言と異なる分け方にしたい場合:相続人全員が合意すれば可能な場合がありますが、遺言執行者が指定されているときや、相続人以外に財産を渡す内容が含まれているときは、その方の同意も必要になります。自己判断で進めないでください。
  • 特定の相続人の取り分が極端に少ない場合:兄弟姉妹以外の相続人には遺留分という最低限の取り分が認められており民法第1042条、金銭の請求ができる場合があります。
⚠️

自宅などで保管されていた自筆の遺言書は、家庭裁判所での検認という手続きが必要です。とくに封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人などの立会いのもと開封することになっているため、その場で封を切らないでください。なお、法務局で保管されていた自筆証書遺言と、公正証書遺言は検認が不要です。

分け方を決める前に「誰が相続人か」「何が遺産か」を固める

遺産分割の話し合いは、相続人全員が参加しなければ成立しません。1人でも欠けたまま行った協議は無効になり、はじめからやり直しになります。

「うちは兄弟姉妹3人だけだから」と思っていても、戸籍をたどると、前婚のお子さんや認知されたお子さんが判明することがあります。財産についても、後から知らない口座や不動産が出てくると、その分について話し合いをやり直すことになります。

そのため、分け方の議論に入る前に、次の2つを先に確定させてください。

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一部の相続人を外して決めた分け方は、後から無効になります。「連絡が取りにくいから」「疎遠だから」という理由で外すことはできません。連絡が取れない相続人がいる場合の進め方は、このページの後半で説明します。

遺産を分ける4つの方法

遺産の分け方には、現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つがあります。どれか1つを選ばなければならないわけではなく、「自宅は現物分割、預金は法定相続分どおり」というように、財産ごとに組み合わせることもできます。

法律上、遺産の分割は、財産の種類や性質、相続人それぞれの年齢・職業・生活の状況など、一切の事情を考慮して行うものとされています民法第906条。決まった正解はありません。その家族の事情に合う分け方を選べます。

現物分割|財産をそのままの形で分ける

不動産は長女、預金は長男、株式は次男というように、財産を形を変えずにそのまま分ける方法です。売却したり、まとまった資金を用意したりする必要がないため、手続きの負担は比較的軽くなります。

ただし、財産の種類によって価値に差が出るため、きっちり同じ金額に分けることは難しくなります。差が大きいときは、次の代償分割と組み合わせて調整します。

代償分割|1人が受け取り、他の相続人にお金を払う

相続人の1人が不動産などの財産を受け取り、その代わりに他の相続人へお金(代償金)を支払う方法です。自宅に住み続けたい相続人がいる場合や、事業用の財産を後継者にまとめたい場合に向いています。

注意点は、財産を受け取る人に支払いの資力が必要になることです。また、代償金を支払う約束は遺産分割協議書にはっきり書いておかないと、後から支払いをめぐって争いになることがあります。

換価分割|売却してお金で分ける

不動産などを売却して現金にしてから分ける方法です。金額で明確に分けられるため公平になりやすく、誰も住む予定のない実家があるときに向いています。

一方で、売却までに時間がかかること、売却価格が想定より下がる場合があること、売却にともなう費用や税金が発生する場合があることに注意が必要です。売却を終えて買主に名義を移すには、通常その前に相続登記を済ませておく必要があるため、手続きの順番もあわせて確認してください。

共有分割|相続人全員の共有にする

不動産などを、相続人が持分を持ち合う形で共有する方法です。その場では平等に見えますが、実際には結論を先送りしているだけになりやすい分け方です。

共有名義の不動産は、売却や大規模な修繕に共有者全員の同意が必要になります。年月が経って共有者の誰かが亡くなると、その持分がさらにその相続人へ引き継がれ、共有者が5人、10人と増えていきます。次の世代が話し合うことになったとき、全員の同意を集めるのは今よりずっと難しくなります。

✏️4つの分け方の比較

分け方 どう分けるか 向いている場面 注意したい点
現物分割 財産をそのままの形で分ける 財産の種類が複数あり、希望が分かれていない 金額をそろえにくい
代償分割 1人が受け取り、他へお金を払う 自宅に住み続けたい人がいる 支払う側に資力が必要
換価分割 売却して現金で分ける 誰も使う予定のない不動産がある 時間と費用がかかる
共有分割 持分を持ち合って共有する ほかの方法が選べない事情がある 将来の売却・管理に全員の同意が必要
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「とりあえず共有にしておく」は慎重に検討してください。その場は円満に収まっても、問題を先送りにして、次の世代がより複雑な状態で向き合うことになりがちです。どうしても結論が出ないときは、共有にする前に第三者に相談する方法もあります。

遺産分割の進め方|5つの手順

遺産分割は、①遺言書の確認 → ②相続人の確定 → ③財産の調査 → ④話し合い → ⑤協議書の作成と名義変更、の順に進めます。この順番を飛ばすと、あとで戻ってやり直すことになります。

✏️遺産分割の進め方

1

遺言書があるか確認する

自宅の保管場所、貸金庫、公証役場、法務局を確認します。遺言書があれば、その内容が分け方の出発点になります。自宅などで見つかった自筆の遺言書は家庭裁判所の検認が必要で、封印のあるものは家庭裁判所で開封します。

2

相続人を確定する

亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべて集め、相続人が誰かを確定します。思いがけない相続人が判明することもあるため、記憶や家族の認識だけで済ませず、戸籍で確認します。

3

財産を調べ、評価する

不動産・預貯金・株式のほか、借入金などのマイナスの財産も洗い出します。不動産の評価をどう考えるかで話し合いの前提が変わるため、この段階で相続人の間の認識をそろえておきます。

4

相続人全員で話し合う

誰が何を受け継ぐかを、相続人全員で決めます。全員が同じ場所に集まる必要はなく、電話・郵送・オンラインで意思を確認しあう形でもかまいません。全員が内容を理解して合意していれば、その分け方は有効です。

5

遺産分割協議書を作り、名義を変える

合意した内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が署名し、実印を押します。この書類は、不動産の相続登記や預貯金の解約・払戻しの手続きで使います。

手順1・2|遺言書の確認と相続人の確定

最初に行うのは、遺言書があるかどうかの確認です。公正証書遺言は公証役場で法務局に預けられた自筆証書遺言は法務局で、それぞれ調べることができます。遺言書が出てきた場合は、内容によってその後の進め方が大きく変わるため、分け方の話し合いを始める前に確認してください。

次に、戸籍を集めて相続人を確定します。集める戸籍は、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍です。転籍や結婚で本籍が動いていると、複数の市区町村から取り寄せることになります。詳しくは相続人の範囲と順位をご覧ください。

手順3|財産を調べ、借金の有無も確認する

財産の調査では、プラスの財産だけでなく、借入金や保証債務といったマイナスの財産も必ず確認します。財産の全体像がわからないまま分け方を決めると、あとから借金が判明したときに困ることになるためです。

⚠️

借金の方が多い可能性がある場合は、相続放棄の期限(原則として相続の開始を知った時から3か月)に注意が必要です。財産や借金を調べているうちに、この期限が過ぎてしまうことがあります。また、遺産分割の話し合いに加わって合意すると、相続を承認したものとして扱われ、相続放棄ができなくなることがあります。借金の心配があるときは、話し合いを始める前にご相談ください。詳しくは相続放棄をご覧ください。

財産の内容を調べる方法は、遺産とは/相続財産のあらましで説明しています。

手順4・5|話し合いから協議書の作成・名義変更まで

話し合いがまとまったら、その内容を遺産分割協議書という書面にまとめます。口約束のままにしないでください。相続登記や金融機関の手続きでは、合意の内容を示す書面を求められることが多く、必要書類は提出先によって異なります。書面がないと、後日「そんな話ではなかった」という食い違いが起きたときに、合意の内容を示すものがなくなってしまいます。

協議書に決まった書式はありませんが、財産の書き方や署名・押印の方法には注意する点があります。書き方は遺産分割協議書の書き方で詳しく説明しています。

協議書ができたら、不動産は法務局で相続登記を、預貯金は各金融機関で解約や払戻しの手続きを行います。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、原則として不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。手続きの流れは相続登記をご覧ください。

協議を始める前に確認したい3つのケース

相続人の中に、未成年の方・判断能力に不安のある方・連絡が取れない方がいる場合は、そのまま話し合いを進めてよいかを先に確認してください。適切な代理を立てないまま、あるいは本人の意思能力や所在を確かめないまま進めると、その遺産分割の有効性が問題になることがあります。

気づかないまま署名を集めてしまうと、後から遺産分割の有効性を争われることがあります。遺産分割が無効と判断されれば、その内容にもとづいて済ませた相続登記はやり直しになり、払い戻した預貯金も分配し直すことになります。手順4(話し合い)に入る前に、次の3つに当てはまらないかを確認してください。

未成年の相続人がいる

未成年のお子さんは、単独で遺産分割協議に参加することができません。通常は親権者が代理しますが、親と子が同じ相続の相続人になっている場合は、親が子を代理することができません。親が多く受け取れば子の取り分が減るという関係にあり、利益が対立するためです。

この場合は、家庭裁判所に子のための特別代理人を選んでもらう必要があります民法第826条。お子さんが2人以上いる場合は、それぞれに特別代理人が必要になることもあります。

なお、2022年4月1日から成年年齢は18歳になりました民法第4条。18歳・19歳の相続人は成年として扱われるため、特別代理人の選任は必要ありません。

判断能力に不安のある相続人がいる

認知症と診断されていても、話の内容を理解して判断できるかどうかは人によって異なります。判断の目安になるのは病名ではなく、その遺産分割の内容を理解して決められる状態かどうかです。理解して合意する力が十分でない状態でされた遺産分割は、無効となるおそれがあります。

いずれの場合も、その方を協議から外して進めることはできません。判断する力が十分でない場合は、その程度に応じて、家庭裁判所に後見・保佐・補助のいずれかの申立てをし、本人を支える人を選んでもらったうえで話し合いを進めることになります民法第7条・第11条・第15条

⚠️

「認知症の診断がある=必ず成年後見が必要」とは限りません。判断能力の程度は人によって幅があり、どの制度を使うか(あるいは使わずに済むか)は個別の状況によって変わります。また、いったん後見が始まると、遺産分割が終わった後も本人の支援が続くことになります。判断に迷う場合は、申立ての前にご相談ください。

連絡が取れない相続人がいる

連絡が取れない相続人がいる場合、その方を除いて遺産分割をすることはできません。ただし、「住所はわかるが連絡を返してくれない」場合と、「どこにいるか・生きているかもわからない」場合とでは、進め方が変わります。

  • 住所はわかるが連絡がつかない:まず戸籍の附票などで現住所を調べ、手紙などで連絡を試みます。それでも話し合いに応じてもらえない場合は、家庭裁判所の調停を検討します。
  • 行方がわからない:家庭裁判所に不在者財産管理人を選んでもらいます民法第25条。管理人が選ばれても、それだけで遺産分割ができるわけではなく、遺産分割に加わるには家庭裁判所の権限外行為の許可が別に必要です民法第28条
  • 生死不明の状態が7年以上続いている:失踪宣告という手続きを検討することもあります民法第30条

家庭裁判所の手続きを使う場合は、準備から結論が出るまでに時間がかかることがあります。心当たりがあれば、早めに動き出してください。

話し合いがまとまらないときは遺産分割調停を検討する

相続人だけで話し合ってもまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用できます。協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各相続人が家庭裁判所に分割を請求できるとされています民法第907条第2項

調停と聞くと「裁判を起こす」ように感じるかもしれませんが、実際には調停委員が間に入って進める話し合いの手続きです。相続人が顔を合わせて言い争う場ではなく、それぞれが交代で調停委員に事情や希望を伝える形で進みます。感情的な対立で直接話せなくなっている場合ほど、第三者が入ることで整理が進むことがあります。

話し合っても合意に至らなかった場合は、審判という手続きに移り、裁判官が分け方を決めることになります。

解決までにかかる期間や進み方は、相続人の人数、財産の内容、対立している点によって大きく変わります。数回の話し合いで終わることもあれば、長期化することもあるため、一律の見通しをお伝えすることはできません。

専門家の選び方|司法書士と弁護士のどちらに相談するか

相続人の間に大きな対立がなく、書類の準備や名義変更を進めたい段階であれば、司法書士がお手伝いできます。戸籍の収集、財産の整理、遺産分割協議書の作成、相続登記といった手続き面の支援が中心です。家庭裁判所に提出する書類の作成についても、司法書士が対応できます。

一方で、相手方との交渉を任せたい場合や、調停であなたの代理人として主張を組み立ててほしい場合は、弁護士へのご相談を検討してください。代理人として交渉・主張を行うのは弁護士の業務です。どちらに相談すべきか迷う段階であれば、まず現状をお聞かせいただければ、どの段階にあるかを一緒に整理します。

遺産分割を長く放置しないために

遺産分割は、後回しにするほど難しくなります。時間が経つと相続人自身が亡くなり、その方の相続人へと権利が引き継がれていくためです。当初は兄弟姉妹3人の話し合いだったものが、10年後には甥・姪を含む10人以上の話し合いになっている、ということが実際に起こります。

顔を合わせたことのない親族が加わり、住所も分からない、という状態になってから手をつけるのは、大きな負担です。

遺産分割はいつまでにすればいい?

遺産分割そのものに、「この日までに終わらせなければ無効になる」という期限はありません。共同相続人はいつでも協議で分割できるとされています民法第907条第1項

ただし、相続に関係する他の手続きには期限があり、これらと混同しないことが大切です。

✏️相続に関する主な期限

手続き 期限 期限を過ぎるとどうなるか
相続放棄・限定承認 相続の開始を知った時から3か月 原則として借金も引き継ぐことになる
相続税の申告・納付 亡くなったことを知った日の翌日から10か月 加算税・延滞税がかかることがある
相続登記の申請 不動産を取得したことを知った日から3年 正当な理由なく怠ると過料の対象になり得る
遺産分割そのもの 期限なし ただし10年経過で分け方の基準が変わる(下記)

※2026年7月現在。相続税は相続財産の総額によっては申告が不要な場合があります。税額の判断は税理士にご確認ください。

とくに注意していただきたいのは、相続税の申告期限(10か月)と遺産分割の期限は別のものだということです。「10か月以内に遺産分割を終えなければ手続きができなくなる」わけではありません。ただし、相続税の申告が必要な方は、分け方が決まっていないと税額の計算や特例の適用に影響が出ることがあるため、税理士にご確認ください。

相続開始から10年が過ぎると何が変わる?

相続開始から10年を過ぎると、家庭裁判所で分ける場合は、特別受益や寄与分を反映した取り分ではなく、原則として法定相続分(遺言で相続分の指定があるときは、その指定された相続分)を基準に分けることになります民法第904条の3。2023年4月1日から始まったルールです。

10年を過ぎるまでは、「長男は生前に住宅資金の援助を受けていた」(特別受益)、「次女は長年にわたり介護をしてきた」(寄与分)といった事情を主張し、法定相続分とは違う取り分を求めることができます。10年を過ぎると、家庭裁判所ではこうした事情を考慮してもらえなくなり、原則として上記の基準で分けることになります。

⚠️

10年を過ぎると遺産分割ができなくなる、という制度ではありません。変わるのは「家庭裁判所で分けるときの基準」です。相続人全員が納得して合意するのであれば、10年を過ぎた後でも話し合いで自由に分けることはできます。また、10年を経過する前に家庭裁判所へ遺産分割を請求していた場合など、従来どおりの扱いになる例外もあります。

なお、2023年3月31日以前に亡くなった方の相続についてもこのルールは適用されますが、経過措置が設けられており、相続開始から10年を経過する時と、2028年3月31日のうち、遅いほうまでは従来どおりの扱いが認められます。古い相続を放置している場合は、この期間内に動き出すかどうかが分かれ目になります。

よくある質問

遺産分割協議はいつまでにすればよいですか?
遺産分割そのものに期限はなく、相続人全員の合意ができればいつでも行えます。ただし、相続放棄は3か月、相続税の申告は10か月、相続登記は3年という期限があり、遺産分割が済んでいないと進めにくい手続きもあります。また、相続開始から10年を過ぎると、家庭裁判所で分ける場合の基準が、原則として法定相続分(遺言で相続分の指定があるときは、その指定された相続分)に変わります。
相続人全員が集まらないと遺産分割協議はできませんか?
全員が同じ場所に集まる必要はありません。電話や郵送、オンラインでやりとりして内容を決め、遺産分割協議書を郵送で回して一人ずつ署名・押印する方法でも有効です。全員が内容を理解して合意していれば有効ですが、一人でも参加していない協議は無効になります。
遺産が預貯金だけでも遺産分割協議書は必要ですか?
金融機関によっては、所定の相続手続用紙に相続人全員が署名・押印する方法で対応できる場合があり、その場合は遺産分割協議書がなくても手続きできることがあります。ただし、取引先が複数ある場合や、後日の食い違いを防ぎたい場合は、協議書を作成しておくほうが安心です。必要書類は金融機関ごとに異なります。
遺産分割の後に新しい財産が見つかったらどうなりますか?
すでに終わった遺産分割がすべてやり直しになるわけではなく、新しく見つかった財産について、あらためて相続人全員で分け方を決めるのが原則です。こうした手間を避けるため、遺産分割協議書に「後日判明した財産の扱い」をあらかじめ定めておく方法もあります。

まとめ|迷ったら相続人と財産の確認から

遺産分割は、財産を分ける作業そのものよりも、その前の「誰が相続人か」「何が遺産か」を固める段階が要になります。ここが正確であれば、分け方の話し合いは進めやすくなり、後からやり直しになる事態も避けられます。

逆に、相続人に未成年の方・判断能力に不安のある方・連絡が取れない方がいる場合は、そのまま署名を集めると、後から有効性を争われることがあります。当てはまりそうだと感じたら、書類を用意する前に確認してください。

話し合いがまとまらなくても、家庭裁判所の調停という次の手があります。急いで結論を出す必要はありませんが、放置するほど当事者が増えて複雑になることは意識しておいてください。

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